あげいん熊野詣
蟻の熊野詣と言われたほど、盛んに行われた中世の熊野詣の賑わいを、今再びと願って、那智勝浦町の観光協会が開催している、時代行列。

昭和59年、町おこしの為、那智勝浦町観光協会の青年部が中心になって始めたのが、あげいん熊野詣です。熊野詣は、平安時代の後期に行った、花山上皇の熊野詣以来、白河上皇・鳥羽上皇の上皇方から女院・貴族さらに武士・庶民へと盛んになりましたが、江戸時代・明治時代と時代が下るにつれて、衰退していきました。この熊野詣を再び現代に甦らそうとして、「古代の息吹甦れ」と始めたのです。そして熊野古道「大門坂」を時代衣装を付けて歩くのです。

あげいん熊野詣では、後白河上皇の熊野御幸の再現をした時代行列です。さらに後鳥羽上皇・修明門院・藤原定家等に扮した人々が時代衣装を付けて、6丁の大門坂を登り、熊野那智大社・青岸渡寺に参拝する様子を現します。従僕にかつがれた輿に、後白河上皇が乗り、前後を警護の北面の武士が歩き、その後を女院・侍女、また各上皇・公卿が続くのです。数百年の杉木立の中を行く苔むした石畳の道、十一文関跡より望む那智の大瀧は、熊野古道で初めて那智の瀧が見えるところです。