全国の熊野神社の総本社として信仰されている熊野那智大
社は、上古は那智の瀧に熊野の神々12社をお祀りしていましたが、
今から1700年ほど前に、現在の地に社殿を築き遷しました。以来、
諸願成就・結びのお社として信仰されてきました。主神は、熊野夫
須美大神(くまのふすみのおおかみ)すなわち伊弉冉尊(いざなみ
のみこと)で、上皇方の熊野詣には熊野牛王宝印に宝珠の神印を受
けたのです。
この熊野詣の先達を勤めた三山検校の支配下に熊野修験の
人々があり、那智の瀧を最終道場として多くの修験者が篭もって修
行に励んでいましたが、明治の淫祠の廃止・神仏判然令により廃仏
毀釈の運動が起こり、神社一辺となりました。この時多くの伝統行
事が失われましたが、その精神は根強く残り、今に至っています。 |