渚の宮


 

那智勝浦町浜の宮に鎮まる「渚の宮(なぎさのみや)」は、 那智山熊野権現の摂社で那智湾に臨む社としてこの名があり、熊野 九十九王子の一つとして栄えました。

熊野古道が田辺より海沿いの大辺路と山中を行く中辺路に 分かれ、再び交差する所が浜の宮です。此処より那智山までを那智 谷と言い、一月に那智山の麓、市野々より始まる各氏神の例大祭は、 渚の宮から各浦浦に続いて行きます。それぞれの氏神では祭りの後、 大的を射るお弓神事、獅子舞が奉納されます。この神事に参加でき るのは、那智川や那智湾で前夜水垢離をした若者だけです。この渚 の宮でも、寒中の那智湾で塩垢離した若者がその年の平安・五穀豊 穣を祈って奉仕するのです。