那智の田楽舞とお木挽き
 

熊野比丘尼は、全国をくまなく歩き、熊野権現の教えを広めると同時に、 御社殿の修復工事を行う為の浄財を集めて廻ります。そして集められた浄財により、 立派な御社殿、御堂は維持されていくのです。この図は、 その修復工事の為の木材を御社殿まで、信者達が引っ張って運んでいるところと、 それを喜んで那智の田楽、神楽を舞っているところを描いています。全国の信者達は、 苦しみのない常世の国、観音の浄土といわれる那智の熊野権現が立派に栄えれば、 自分たちも救われると喜んで浄財を納め、そこで行われる田楽舞や、 神楽舞の様子を比丘尼から聞き、思い描いたのです。