多富気王子
京の都より熊野詣をした人々が、途中の熊野九十九王子を拝みながら中辺路を通って 熊野に参り、熊野本宮大社・熊野速玉大社に参拝して那智山に来ると、 麓に最後の王子・多富気王子があります。 多富気王子(たふけおうじ)は、熊野九十九王子の最後の王子としてまつられ、 京の都から・伊勢の国から遠く険しい熊野道をようやく辿り着いた 熊野権現・那智山の麓を、神域と俗世とを分けたという振り加瀬橋を渡り、 夫婦杉をくぐり、大門坂を一丁程登った右手、木漏れ日の中に その王子跡があります。石碑ののった石積みが往時を偲ばせます。