自己発見への旅
熊野に抱かれて
 
 
 生きることに絶望した時、見えない恐怖におののく時、どうしようもない悲しみに打ちひしがれた時・・・人は、ふっと人間を越えた、とてつもなく大きな存在に思いが至ります。  
無始よりやさしく抱かれていた自分を見いだし、声無き叫びをひたすら届けようとするかもしれません。そして、その広大無辺な存在を前にして、自らを開き、  
生きるべき道を請い求めるのでしょう。  熊野は今、静寂の中。鬱蒼と苔むす石段、石だたみ。路傍の名も知れぬ石仏道半ばにして倒れたであろう幾万の人々に思いをはせながら、一歩、また一歩、踏みしめ登るいにしえの道。  
振り返れば、生をうけてから、この方、歩み来た道。  
見上げれば、限りなき時。  
今、足を置く、この石の上に凝縮する、過去と未来。
   
生きることに絶望した時、見えない恐怖におののく時、どうしようもない悲しみに打ちひしがれた時・・・人は、ふっと人間を越えた、とてつもなく大きな存在に思いが至ります。  
無始よりやさしく抱かれていた自分を見いだし、声無き叫びをひたすら届けようとするかもしれません。そして、その広大無辺な存在を前にして、自らを開き、  
生きるべき道を請い求めるのでしょう。  熊野は今、静寂の中。鬱蒼と苔むす石段、石だたみ。路傍の名も知れぬ石仏道半ばにして倒れたであろう幾万の人々に思いをはせながら、一歩、また一歩、踏みしめ登るいにしえの道。  
振り返れば、生をうけてから、この方、歩み来た道。  
見上げれば、限りなき時。  
今、足を置く、この石の上に凝縮する、過去と未来。