「作りし罪が鬼となり、心の剣、身を責むる」(近松門左
衛門「びくに地ごくのえとき」)絵のなかの地獄は死語の世界です。
しかし、それは真の自分を見失い、徒労と苦悩の壁で自分を囲んで、
あがくほどに憎悪とねたみの深みへますます落ちていくという心の
状態を示すものでもあるのです。
絵の中央にあるのは、妻以外の女性に心を寄せて苦しめら れる男性、左下は艶然とほほえむ女性に引き寄せられるように、決 して上ることのできない針の山への突進を続ける男性の姿です。女 性である熊野比丘尼に説明されると、身の覚えのある男性は一層わ が身を恥じたことでしょう。
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